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2025.02.02

映画『メイクアガール』(ネタバレあり)

ちょいと辛口の感想です。

映画『メイクアガール』ガワはSFだけど物語はファンタジー寄りでした。

物語の中心の技術が全部魔法扱い(原理はわからないが結果はできてしまうもの)なので、モノガタリの駆動が理屈ではなく、全部感情で転がっている。 最初から感情で物語が駆動されてるから、クライマックスで感情の高ぶりで大きなことが起きるけど、質的には序盤と変わらないからそこまで盛り上がらない感じ。

それぞれが自分でも理解できない感情でモノゴトが動くので、展開が理不尽になりがち。だから理不尽に悲劇的なドラマが好きな方にはお勧め。

絵も構図も機械の動きもとてもSF的なのだけど、《理》で駆動される部分が無いのでこの作品はSFの文法では評価は低い。

そもそも主人公の明のみが、母親の残した技術を、理解はしていなくても直感である程度は実行はできてしまうという設定に説明がない。0号をあれだけ人間に近い形で作れてしまうのに、その原理も出来上がったモノが何かも理解ができていない。その《理解ができていない》が物語が展開する根本なのにそこが不明だから、明が0号を理解できない苦悩自体も、メタ的に「そう物語に都合よく設定したからだ」ということ以上の意味が出てこない。物語の中で0号が明を好きなのはそう設定したからだ、とパラレルな形で。

そこの説明/納得のためには、主人公も実は母親の造った人造人間だったのでヒトノココロが解らないのだ、くらいじゃないとSFとしておもろくないなあ、とかいらんこと思いながら見てた。母親が作った人造人間だから、母親が残した、他の人には読むことすら不可能な伝言が直感的に実行できるのだ、というふうに筋も通る。「作られた人間の感情は作られたものか」という主題に対して、0号と明で複合的に展開することになって、も少しおもしろくなるんじゃねえかな。

明が母親の意図を理解する瞬間も、それまで誤解している理由も特段必然性がなく、物語を盛り上げるために誤解していて、一番もりあがる瞬間に偶然理解することになるって感じなんだよなあ。

評価するなら、ファンタジーの文法で、不思議な力で彼女ができたけど主人公がヒトノココロがわからないので破綻しましたかな。でもそれだと彼女が人造人間で、人造人間であるがゆえの悩みがある必要性がなくなるか。

映画のラストで2027年に続編がでるような絵があったので、続編でなにか大きな仕掛けをやってくれること期待します。

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