2023年4月の記事
2023.04.27
2023.04.23
【ネタバレあり】映画『BLUE GIANT』
映画『BLUE GIANT』をIMAXで見てきた。音の作り込みがとても良い映画だった。
一番の特徴は、上手い演奏は上手く、良い演奏はちゃんと良い演奏で、下手な演奏はきっちり下手に演奏されていたこと。
例えば雪祈がはじめてきいた大のサックス。私は頭では固くて荒い演奏であまり上手くないと判断したが、背筋がぞくぞくして身体は良い音だと感じていた。私の拙い感覚ではどこが良いとは言語化できないが、良い演奏だった。
ニヤッとしたのは雪祈が最初に参加していたセッションの《マンネリな演奏をくりかえすベテランプレイヤー》が、まさに「そうそうそんな感じあったなあ」と膝を叩くくらい思い当たる節のある演奏と音だったこと。こんな演奏佃煮にするほど聞いたことがあるなあとニヤニヤしてしまった。
一番の肝は、原作のBLUE GIANTは、大の成長の物語なんだけど、映画の重点は大にまきこまれた雪祈と玉田の成長が描かれていて、映画が進むにつれて彼らの演奏が変化していくのがはっきりと分かる点。
玉田の最初の演奏は本当に素人がいっぱいいっぱいに弾いている感じがよく出ていた。ラストのクライマックスのライブも演奏は、ちゃんと上手くなっている所はそれなにり上手くなっているけど、やっぱりいっぱいいっぱいで一生懸命さが伝わる演奏だ。この玉田の演奏とその変化、ちゃんと演じ分けている吹き替え(というのかなアニメでも)のプロのミュージシャンが凄いぜ。
雪祈の成長は、演奏の変化に加えてエピーソードによる伏線を上手く使って表現されている。初ライブ前の練習のときに、大が感性で汚い和音を平気で吹くのに対して、雪祈が理論に沿った良い音を出せと主張し平行線におわる。このエピーソードで雪祈の理論派の面を強調し、それゆえに無難で小さくまとまってしまう壁にぶち当たる展開へとつながる。そして《有名来日アーティスト》の代打メンバーとしての演奏で、最初はいままでと同じ無難な演奏をしていたが、アーティストに促されるように、次第に感性に従い汚い音もいとわない迫力のある良い演奏を始める雪祈。画面もサイケデリックな目眩がするような演出で新しい世界へ踏み出した雪祈の世界を表している。
雪祈についてはもう1つ。最初の《マンネリな演奏》で手をぬいて左手1本で演奏する雪祈と、最後のライブで怪我で右手が使えない中で左手1本でそれでも迫力ある思いのこもった良い演奏をする雪祈の対比がとても良く彼の成長と変化を表わしている。
『BLUE GIANT』は、良い演奏の音楽が随所にあるのが魅力だが、それに加えて、これまで説明したとおり、演奏が音楽がとても良い《演技》をしていて、お話を形作り盛り上げているという、非常に良い映画だった。
2023.04.22
2023.04.21
2023.04.19
『あるいは脂肪でいっぱいの宇宙』(池澤春菜)〔NOVA 2023夏〕
ヨコジュンと新井素子を足してカジシンを掛けたようなハチャハチャダイエットSF。ダイエットをめぐるドタバタとエスカレーションが楽しい。悪態のつきかたにバリエーションがあって善哉。
加えて、最後に小川一水のようにスマートにいい話でまとめるのは見事。
ただこの話を綺麗にまとめるあたり池澤春菜はまだ正気だなーと。この展開だと、もっとどうしようもなくなるまでいって、どうするどうなるで放り投げるエンドも見たかったかなー。
2023.04.06
2023.04.04
百老亭 大須店
名古屋は大須にある餃子専門店。カウンター席と椅子席が3つの小さなお店。
看板に「創業昭和28年/令和4年復活」とありまして最近復活した模様。
メニューは餃子が焼餃子、水餃子、スープ餃子(玉子あり、玉子なし)の4種類に炸麺(バリソバ)とシンプルです。アルコールもあり。
焼餃子
水餃子
餃子は小ぶりで具は野菜やや多め。水餃子はあっさりしていてなんぼでも食べれる味。焼餃子は最初フライパンで茹でてから焼きをいれているので、焼きの香ばしさにつるつるの食感が加わってお得です。
炸麺(バリソバ)
中太の揚げ麺に野菜あんが掛かった麺。あんは薄味で自分で酢や餃子のタレで調味します。熊本のかた焼きそばに近い感じ。ちらっと見えた厨房では生麺から揚げて作っていたように見えました。
私は肉肉しい餃子原理主義者なのですが、ここの餃子は野菜が多めでも美味しかったです。また来よう。市内に2つ支店があります。
※以下2023年4月9日追記
後日、スープ餃子(玉子入り)を食べました。
タレで薄く味付けしたスープで餃子を煮込んであります。野菜と肉もはいっていて餃子は5個。味はやや濃い目でこれも美味でした。
2023.04.01
TRIGUN STANPEDE 〔TVアニメ〕
トライガンのリブートアニメ。コミックス無印トライガンを基本に、トライガンマキシマムでも中盤まで触れられていなかったバッシュとナイヴズの出自、始まりの事件《大崩落》を最初から説明することで理解しやすくする今風の語り口で再構成。
3DCGを多用することで、内藤泰弘の止め絵的な迫力は損なわれたが、その代わりに、鋭利で緻密な形態の異形の者同士の立体的なバトルアクションがスピードと迫力をもって描かれました。ナイヴズの無数の刃物による情け容赦ない物理攻撃、バッシュと球体装甲のザ・マインとの立体機動バトルなどなど迫力がありましたねえ。
無印トライガンのロスト・ジュライまでという序章のお話が基本で、トライガンマキシマムに相当する他星系からのインデペンデントの到来に端を発するナイヴズとの全面抗争に向けた続編へのイントロダクションとして良くまとまった作品だったのではないでしょうか。
原作ファンとしては、もう少しコミカルな場面、やりとりがある方がバッシュの内心で泣きながらむりゃり笑っている心情を表せたのじゃないないかなとは思う。
そういう意味では第12回のバッシュとナイヴズの問答中の、「人々に裏切られて大ピンチだけど笑いながら逃げているバッシュ」の回想絵は秀逸でした。
あとは昔のトライガンを知らない人にどれだけ刺さったかが気になるところ。
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