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2022年11月の記事

2022.11.23

【ネタバレあり】『不滅』(斜線堂有紀)〔SFマガジン12月号〕

死者が腐敗もせず火葬しても燃えなくなる《不滅現象》が起きた世界。土葬の場所も限界があり、選択肢は深い縦穴に埋めるか宇宙に打ち上げる宇宙葬にするかくらいしかないが、遺体を縦穴にぎゅうぎゅう詰めにするのはしのびなく、宇宙葬にするにもロケットを発射する宇宙港の建設が、不滅遺体の増加に全然間に合わず庶民には高価すぎて手が出ない状況である。

そんな中である日本のベンチャー企業が格安の宇宙葬プランを打ち出し突貫工事で洋上宇宙港を完成させるが、その格安突貫工事が可能だった理由は不滅となった遺体を宇宙港の土台として埋め立てたからだった、という事態が世間にあからさまになってからがこの作品の本篇。

遺体が土台に使われた遺族、ベンチャー企業の社長、遺族の会社の同僚やまったくの第三者の回想なりインタビュー的記事なりで構成され、 何が正解かは、もちろん示されない。日本は明示的な宗教的哲学がないので、ベンチャー社長のように「遺体にはもう魂はないのだから利用するのは当然(意訳)」のような主張もなりたつ一方、宇宙港が建設できなければ縦穴行きしか選択肢のない状況で、遺族も感情的に納得できないながらも全面的にベンチャー企業が悪だとも強く断定できない。

貧すれば鈍する状況で人間はどこまで尊厳のない選択をするのか、どこまで《合理化》してしまうのかという思考実験の作品。

そしてこの作品は小説じゃなければなりたたなかった。実写映画はもちろんのこと、アニメや漫画だったとしても、宇宙港の土台から人の手が出てくる絵が示されたとたんにセンセーショナルな感情論でベンチャー企業を悪としてしまうことになるだろう。そこをこの小説は、あえて淡々と描写することで、冷徹な思考実験として示している。なかなかわりきれない引っかかる作品だ。

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2022.11.22

B1 シーホース三河 69 対 81 宇都宮ブレックス at スカイホール豊田(11月19日)

Arina_20221122202501

両チームとも、例えばピック&ロールを受けたら、すばやくボールホルダーにダブルチームに行ってスクリーナーへのパスを妨害するし、その隙間を縫ってスクリーナーに素早くパスを通すダブルチーム崩しを返すし、と普段見ているB2と比べるとかなり高度な駆け引きが高速で行われていました。

Play

このレベルになると何の差で点差がついてくるのか良くわからんが、すげえパスとかすげえディフェンスとかがたくさんあって、 なんとなく眺めていても楽しい試合でした。

Tatuo

ちなみにチアのSUPER GIRLSは、今日はCONVERS DAYということで上着がスエットのようなダボっとした長袖シャツで、なんだか普段着で踊っているような不思議な感じでした。

Cheer
Cheer2

そして肝心のアリーナグルメ。本日の特製メニューは、西田選手のおでん。甘い赤味噌の煮汁がいい味を出していて美味でした。汁も完飲。

Odenmise
Oden

安城のソウルフード《北京飯》。豚のコートレット的な炒め焼きを、フワフワの玉子丼に乗せたもの。こちらも甘いダシで汁気が多く、満腹感のあるジャンクご飯でした。満足満足。

Pekin

おまけ。Bリーグとスラムダンクのコラボ企画をやってて、豊田では本物のアリーナ床材をつかった《THE FIRST SLAM DUNK》の イメージボードの展示。写真撮影には行列ができていました。

Slamdunk

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2022.11.14

B2 第7節 バンビシャス奈良 対 熊本ヴォルターズ (11月12日,13日) at ロートアリーナ奈良

Sikache

GAME1。85対96で熊本の勝ち。3クォーターまでおおむねイーブンなだけど熊本の攻撃は波があってビハインドを詰めきれなかったところ。奈良はインサイドへの侵入とリバウンド支配を強みに着実に得点を重ねていた。第4クォーターの中盤でようやく熊本のハードディフェンスが効きだして追いつき、オーバータイムは熊本のディフェンスがそのままの勢いをたもった上で、攻撃も3ポイントが入りだしてなんとか引き離せた感じ。ディフェンスが効かないと、なぜか攻撃がウッディ頼りになって相手が守りやすくなっちゃうのなんとかしたいなあ。オーバータイムの得点はウッディだけじゃないので相手に大きくダメージ与えれてた。あれをいつでもできるようにしたいところ。

Up

GAME2。63対73で熊本の連勝。今日は試合開始から熊本のデフェンスが効いていた。奈良のビッグマンの侵入に連携よく収縮して止めに行き与ファームも多かったけどそれ以上にタフショットに追い込んで得点率を下げさせていた。リバウンドも昨日ほどは支配されずによく取れていた。攻撃はウッディに頼りすぎることなく、まんべんなく得点が取れていた。GAME1からの修正がわかり易すぎるくらいな形でできてる。こういう修正がちゃんとできるチームはいいチームだ。あと第1クォーターで負傷退場した本山キャプテンが心配である。たぶん鼻だと思うんだけど大事無いことを祈るのみである。

Chia
Arina

 

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2022.11.11

【ネタバレあり】『星の恋バナ』(人間六度)〔2084年のSF〕

謎の巨大生物BBの襲撃、怪獣のもつ全宇宙をタイムラグなく感じ取る量子もつれ感覚という無敵能力、四次元光による質量を持つ三次元の影を利用した巨大鋼人によるBBの駆逐技術、その鋼人の適性をもつ数少ない貴重な存在の女子高校生、というような想像力の限界を試すようなSFギミック満載の世界において、その女子高校生と先輩の不器用な恋が、BBの襲撃理由とシンクロし、少女漫画的な相互理解がすすむというアクロバティックな展開をするという、短編なのに長大ジェットコースターで振り回されるようなお話し。

人間社会の愚かさで、月を失い2万4千年の問題の先送りというなんともいえない閉塞感のある結末なのだが、少女漫画なのでほのぼのとして終わるのである。いい余韻である。

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【ネタバレあり】『かえるのからだのかたち』(草野原々)〔2084年のSF〕

テラフォーミングを失敗した火星の遺跡を利用して、カエルの幹細胞を使ったゼノボットとそれに乗ったヒトの意識が生き残りを賭けて活動を続けるお話。

途中で意識に割り込んでくる古代火星の「先住火星人」の記憶は、オカルト的な真なのか、神話運動が作り出したフェイクなのか、どちらともつかないまま、かえるの大合唱が始まり、混沌の祝祭/破滅への暴走が始まる。《わあわあやっております》的な草野原々らしいオープンなエンディング。善い。

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2022.11.08

月刊少年マガジン12月号

ざっとした感想など。

ボールルームへようこそ 竹内友
たたらが網膜穿孔で練習ができずエクササイズ中だけど、やはり周りに振り回されてしまいあたふたしまくるコメディ回。たのしい。
宇宙の音楽 山中誠志
月マガにはいい音楽マンガをものする秘訣があるのか?!(例:四月は君の嘘、ましろのおと)指揮台に上がる心理、葛藤、文字通りの《息が合う》楽しさが的確に熱く伝わってくる。
龍帥の翼 川原正敏
項羽は死を覚悟し窮奇と激突する。互を理解し互いが納得できる最期を求めて戦う。これも熱いぜ。
空のグリフターズ 加藤元浩
トリックの解説とエピローグの回。仕掛けはある種のインサイダー取引だが、それより大きい犯罪的行動の影で目立たない。上手い考えだけどたしかに大博打だ。
水のリボルバー 佐藤駿光
新連載。実力者が世を忍んで隠れていところに転がり込むトラブルメイカーなお嬢さん。主人公が扱う武器が無敵すぎるので、どうインフレせずに話が転がせるかお手並み拝見。
すだちの魔王城 森下真
勇者と王のそもそもの因縁が明かされる。第2章の幕開けとして十分深い話の始まりだ。
仮面ライダーSPIRITS 村枝賢一
パダンシンドロームを逆転させるライダーシンドロームの発動!ラストページのあおり《希望もまた伝播する》がテーマをよく伝えている。
自殺志願中 弘中とうま
月刊少年マガジン新人賞大賞。不幸をスパイスにした平凡なハズレ者の学園青春モノと見せかけてクライマックスでオカルトバトルへ飛躍するその振り幅が良い。

その他面白かった漫画は以下

  • め組の大吾 救国のオレンジ 曽田正人
  • サンダー3 池田祐輝
  • 龍狼伝 山原義人
  • 君はスキノザウルス 関口太郎

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2022.11.05

B3 岐阜スゥープス対金沢武士団(11月5日)

B3リーグ第5節岐阜スゥープス対金沢武士団を見てきました。結果は岐阜80 対 82 金沢と最後までどちらに転ぶか判らない面白い試合でした。

インサイドの攻撃とリバンウドに圧倒的な優位をもつ岐阜に対し、センターのオレクサンドルも含めて3ポイントを多用する金沢という噛み合わせの試合は1クォーターの中盤で得点が僅差になって以降4クォーターのラストまでシーソーゲームが続いた。3クォーターで金沢の3ポイントが落ち気味になると岐阜がややリードするが、4クォーターに入って、金沢が守備はインサイドの相手ビッグマンに、シュートモーションに合わせて2から3チームで囲んでスチールやジャンプボールに何度ももちこみ、攻撃はパス回しでコーナーにオープンな3ポイントを作り出して連続して得点し逆転。最後は岐阜PG奥田雄伍がシュートでファールをもらってフリースローを決めて2点差とし、岐阜の攻撃をターンオーバーして接戦をものにしました。

B3なんで、パス回しが上手く回らなかったりとかあるんだけど、内にに切れこむ力が弱いなら3ポイントを多用してなんとかするとか、インサイドのデフェンスの高さが足りないなら人数をかけて相手をタフショットにするとか、戦術の工夫が随所にみられ、実力が拮抗していて接戦だったこともあり、なかな面白い試合でした。

会場はOKBぎふ清流アリーナという普通の体育館なんだけど、両コートエンドの壁をスゥープスの大旗で飾り付けて覆うなど、雰囲気づくりに工夫があって、ちょっと良かったですねえ。

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