岡田斗司夫がぶち上げた落語2.0だが、ネット界ではほとんど話題になっていない。
落語2.0で検索すると、当サイトごときが岡田の公式サイトの次に出てくるていたらくである。いい評判も悪い評判もほとんどなく、とにかく話題にされていない。
原因はいくつか考えられる。
まず、岡田がなぜ落語2.0で「落語」にこだわるのかが明言されていない。
形式的には2つ述べられているが、『四人の占い師に「落語家になる」と言われてる』(月刊岡田斗司夫3号,p14)だったり、『観客が目の前にいて、話てリアクションを受け取る、っていうのがずっとやりたかった』(同上)だったり、本気でそれだけだとは思えなかったり、必ずしも落語に特定される理由でもない。
この「落語」にこだわる理由を抜きにしての議論は確かにしにくいだろう。
数少ない落語2.0に言及しているサイトも、
こころはどこにゆくのか?- ささやかな疑問を解消するのに必要な時間はささやかではない
つまり、どうして落語と名乗らなきゃいけないの?ってとこだと思う。実は、そこに一番の問題があるんじゃないかな。
はてなブックマーク - あのはらっぱへと続く道 / 2006年11月18日
それは「漫談」という形で既に実現しているのじゃないかとも思う。
これらサイトも、なぜ落語と名乗る必要があるのか。漫談でいいじゃん。とにべもない。
岡田が「落語」にこだわる理由はmixi日記や氏の従来の主張から、ある程度推測できる。ただ、邪推に近い結論しかでてこなかったので、今回はこれ以上述べない。
でもう1つの理由。
それは、落語2.0のイベント全体はさておいても、そこでの岡田のパフォーマンスがつまらないということだ。
まずもって、イベントの感想自体が少ないのだが、ここ以外で唯一みつけた評価がこんなの。
ぐうたら主婦のぎりぎりカウントダウン(2007-01-21)
何しろ今回は『トリの岡田さんの噺が一番面白くなかった』んですよ。
私の感想も以前書いたとおり、パチ助と茎丸は面白かったが、岡田のはみててツライところがめだった。岡田が述べる
「なまじ面白いから腹がたった」というのがどこからでてきたのか不思議なくらいだ。
そこで、岡田自信も「勉強会」と名乗っているくらいなので、ここで具体的な駄目出しと、どう対応したらいいかを提案してみたい。
なお具体的な感想が他に見当らないので、私の感想のみを手掛かりに話をすすめる。
まず、話の内容は興味深いのだが、座っている岡田の姿を30分間ずっと見続けるのがつらかった。座って、和服きて、手の動きと話だけで観客の注意を引き付け続ける技術が岡田に無いのである。
以前の感想で述べた通り、始まって15分から20分位のところが特に非常につらかった。
従来の講演で観客が集中していたのは、多分、岡田の話であって岡田の姿ではないのだ。ここは岡田が見誤っている点だろう。
ではこれに対して、岡田はどうすべきだろうか。
古典的な落語であれば、手の始末をつけて静と動のメリハリをつけ、視線を隅々まで常に配るようにして客の注意を放さないようにしている。
ただ、これを身につけるには古典的な修行で5、6年ほど鍛えないと駄目だろうし、やっても下手糞な古典落語家が1人できるだけで、つまらない。
それに多分、この技術は芝居的な咄で効果的になるようにできており、岡田が目指す世間話にはそぐわないと思う。
では他の方法はあるか?
ヒントはいくつかあると思う。
先程引用した感想や私の感想で、茎丸とパチ助は面白かったと思ったことは1つのヒントだろう。
あるいはタイガーアンドドラゴンの長瀬の「落語」。
長瀬が、座布団に座った所からは動かないまま腰から上をくねくねと派手に大きく動かし、落語の素人らしさを出しながらも、観客の耳目を引く「落語」を演じたのがもう1つのヒントになると思う。
彼はさらに、アイドルらしい目線の強さでそれをはなさないのだが、それは素人が真似するのは多分、無理なのでおいておこう。
古典落語の技を持たない者が落語的な演出でで勝負して勝てる訳がないのは岡田も自覚している。これらをヒントに、なにか注目を引きつづける道具や技を使ってみてはどうだろう。
茎丸のようにプロジェクターを使うとか、最近の漫談によくあるフリップも手だろう。パチ助のように実物を使うのもありだろう。
以下のサイトはプレゼンテーションのコツを説明しているサイトだが、何か「モノ」を使って説明することの有利さを上手く説明しているので引用しておく。
オブジェクト使用型説明術のすすめ | i d e a * i d e a
こうして「モノ」を使って説明を展開していくだけですごくわかりやすくなる。(中略)- 人は動くものに注意を惹かれる。モノを登場させてその間に指を走らせることによって聞き手の注意を惹ける。
(中略) - モノを使わない場合、話し手の顔を見ることになる。ちょっとした話ならいいが、長い話だと目をそらしたくなる。目をそらすと他の事が気になる。集中できない。モノだと見続けていても平気。
(中略)
ただ単に口で説明したり、身振り手振りで説明するより、ぐっと話がわかりやすくなるのでおすすめですよ。
あるいは、講演会みたいに納まって静かに話すのではなく最初から全身を使って動き続けてみるというのはどうだろう。講談ではハリセンを叩く動きと音で耳目を引き続けている。1月の勉強会でも最後の10分は興にのったか手が激しく動き出して、楽しく見れたことは付記しておく。
さらに服について。
茎丸やパチ助が前座でも着ないような派手な服だったのとは対照的に岡田は真打ちみたいな黒い服を着ている。真打ちのような技が使えないのであれば、観客の注意を引き続けるためには、派手な服のほうがいいのではないかと思う。
例えば立川談之助が、(意識して演出しているかどうかまでは分からないが)芝居の入らないオタクウンチク落語を演じる時には、つとめて派手なイラストの入った服を着ているのは、参考にしたほうがいいと思う。
ということで、まとめ。
落語2.0で岡田は、話の中身を面白くするのも必要だが、自分の姿を見続けさせる工夫をもっとすべきだ。
例えば道具を使ったり、もっと身体を動かしたりしたほうが良いんじゃないかな、というのが今回の結論。
(関連する記事)
・落語2.0は何か(2007.01.28)
・落語2.0見てみた(2007.01.22)
・岡田斗司夫の「落語2.0」(2006.11.23)
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