カテゴリー「書籍・雑誌」の記事

2019.04.10

『相手を見てサッカーをする』(岩政大樹)

岩政先生の『相手を見てサッカーをする』を読み終わりました。


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サッカーのいろはの《ろ》くらいをを説明する教科書。サッカーをやったことのない初心者でもよく分かるように上手に構成されています。


まずは選手の立ち位置(※物理的な)について《攻撃とは何か/守備とは何か》という表裏一体の大原則を示しています。
そして、そこから《守備時はどういう立ち位置にいるべきか》《攻撃時はどういう立ち位置にいるべきか》というこれもとてもシンプルな原則2つに落とし込みます。その原則で、立ち位置を決めるには、ゴールと相手と自分の場所を見ておくことが大事であるということが示されていて、第1章の初っ端でもうタイトルの《相手を見る》ことの必要性が説明されています。さすが岩政先生、もったいぶった出し惜しみをしません。この原則は非常にシンプルかつ当たり前で納得できるものです。(内容は別に書いてもいいくらいシンプルなんですが、まあ本を買って読んで確かめてください。)最初読んだときはこんな当たり前のことから始めて大丈夫なのかと心配になったくらいです。

しかし心配ご無用。
つづく第1章の後半では、センターバックや、サイドバック、ボランチ、ストライカーなど、ポジション毎にどういう立ち位置をする必要があるかを、そのシンプルな原則を基に導き出します。導き出される結論は、サッカーをある程度知っている人ならよく知っている立ち位置なのですが、それに至る論理的筋道がこんなシンプルな原理から導きだせる/説明できるということに非常に知的好奇心をくすぐられました。バラバラに覚えていたセオリーが一気に体系化して頭に入ります。これは初心者でも容易に頭に入るのではないでしょうか。

そして圧巻の第2章。『システム上の急所を知る』と題した第2章で、4-4-2とか4-3-3とか3-4-3とかのシステム毎にどこが攻守のせめぎあいの急所になるかを、第1章で示した攻撃や守備の立ち位置の原則から導き出して説明します。これも急所の場所だけ見るとわりと当たり前の結論なのですが、どういう原則でそこが急所になるかを知った上で見ると、その急所をどう攻めるべきか/どう守るべきかが見えてきます。例えばCBが観音開きしていても、ビルドアップが上手くいくときと上手くいかないときがあるがそれは何故か、どこを見るべきかが理解できます。これをざっと読んだだけでも、試合を見たときに立ち位置の良否の見え方がずいぶん変わりました。
かなり幅広くシステムを解説したあと、第2章の最後では、最近のトレンドのハーフスペースや5レーン理論がなぜ有効かを、この攻撃と守備の原則から説明しています。これも納得の解説で、まるで加減乗除の四則演算から説き起こして相対性理論を証明されたような驚きの(ちょっとオーバーか(笑))解説です。

第3章は、岩政先生が実戦でどういう駆け引きをしてきたかの経験談なのですが、それに、攻撃/守備の原則を踏まえて、相手と岩政先生とが互いにどう考えて/見て/判断して行動したかという情報が加わることで、駆け引きの理解がぐっと深まりました。

以上、ざっと内容を概観しましたが、この本、相手をよく見て自分の立ち位置と行動を考えようというこの本は、かのデットマール・クラマーさんが、1964年の東京オリンピックに向かって強化する日本代表サッカーチームに授けた基本中の基本の3原則の最初の2つ《ルックアラウンド》《シンクビフォー》を、現代サッカーの文脈のなかで、具体的な戦術に落とし込んだような本だと思いました。いろはの《ろ》くらいの話でもこういう戦術の話までたどり着くのです。そして、本の中で岩政先生も触れているように、その先には選手の個性や判断でどうにかしなければならない、更に高度な世界が待っているのです。奥が深い。

ちなみに、私はこの本をこう理解したけど、4月7日の平畠会議で岩政先生は、この本の発想を鹿島の上手な選手の行動の中から見つけ出したと語っていた。ブラジルのエッセンスのサッカーから見出したサッカーの基本は、ドイツのサッカーの基本にも通じるものがあるのだろう。

とにもかくにも、平易な言葉とシンプルな原則でサッカーの見方/やり方を深く変えてくれる本なので、初心者から、そこそこサッカーを知ってると思う人まで、とりあえずおすすめできる本でした。

 

 

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2019.02.18

コミケ95:『MY FAIR REFEREE 2018』『2018ワールドレフェリーおぼえがき』(のぎやか商会)

コミケ95で入手した本の紹介、今回はサッカーの審判本です。

のぎやか商会さんは、ずっと審判中心のサッカー観戦記をだしておられて、今回はJリーグ2018篇とワールドカップロシア大会篇です。マトリョーシカな審判の表紙が可愛い。

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内容は解説+イラストで、ウォーミングアップする審判の動きとか、審判ごとの動作の癖とか、良くここまで見ているなあという、審判愛にあふれています。

これはワールドカップロシア大会開幕戦の主審ネストル・ピターナ氏のジェスチャー集の一部。

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あー、なんかこんな感じだったとか、あるある感いっぱいです。

コミケ95で入手した本一覧はこちら→《コミックマーケット95で入手した本など:路傍亭@はてなブログ

 

 

 

 

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2018.12.13

コミティア126:『パンツの森』(谷口敬)

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コミティア126で出会った面白い本、つぎは谷口敬の『パンツの森』。渡辺電機(株)さんのサークルで頒布していました。

木々にパンツの実がなるパンツの森。人々はそのパンツを収穫し、履いたり頭にかぶったりする。ノーパンのパンツの妖精が登場したり、昆虫や小動物のように空を飛ぶパンツの生態を描くファンタジー漫画、、、のはずなんだけど、その生活や自然を描く画面全体にパンツやズロースや穴あきパンティが乱舞する、明るく楽しいコメディ漫画。

谷口敬さん健在です。スキャンティーヌさま~あ。

コミティア126で入手した本の一覧はこちら→「コミティア126で入手した本@路傍亭はてなブログ

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2018.12.12

コミティア126:『ストローの袋のゴミのかたち図鑑』(ふねこあみ)

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コミティア126で出会った面白い本、まずは『ストローの袋のゴミのかたち図鑑』。

タイトルそのまま、喫茶店で廃棄されたストローの袋のゴミを集め写真をとり分類してまとめた図鑑。18ページに92点のゴミの写真が16種に分類されている。分類はオリタタミやネジネジ、ムスビ、イモムシなどシンプルかつ明快である。またおなじムスビでも多様な結び方があるのがよく判る。

そしてこの図鑑の楽しみ方は、あとがきの最後のこの一文に集約されている

この本を通じて、日常に溢れる些細な違いを少しでも楽しんでいただければ幸いです

ああ、人はなぜ、収集し、分類してしまうのだろうか。

コミティア126で入手した本の一覧はこちら→「コミティア126で入手した本@路傍亭はてなブログ

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2018.01.05

コミケ93:時刊新聞

時刊新聞さんは、SF大会で1時間毎に1号、ニュースや告知や感想などなど大会に関する諸々をまとめて新聞として発行している自主企画団体で、コミックマーケットでは各大会の縮刷版を販売しているサークルさんです。

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今回は米魂の縮刷版がでてましたが、併せてコミックマーケット93版の時刊新聞も発行されていました。1日1号、前日設営も含めて4号分あります。写真にチラッと写ってるのは通巻3号。《17歳》は、あの17歳の2人組のサークルに並んだレポート、《ファビュラス》はあのファビュラスなサークルに並んだレポートです。「今まで嗅いだことのない、未知の香水のような匂い」がしたそうな。C98やCSP7の話題もちょっとだけ載ってます。

米魂縮刷版から電子入稿になったとのこと。あとがきで宣言したとおり翌年度の大会までに縮刷版がだせるよう印刷スケジュールが次回はおいつきますでしょうか。

※コミケ93で買った本一覧はこちら→『コミックマーケット93で買った本』 - 路傍亭@はてな

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2017.01.26

コミケ91:『Aogacho artworks vol.2』(アオガチョウ)

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コミケで出会った面白い本、第4弾は、アオガチョウさんの、アートワークvol.2です。

オゾマシクも美しくどこか愛嬌のあるイキモノたちの画集です。表紙の犬は、中身では狼を足蹴にしているしたたかさよ。私のお気に入りはクトゥルー神話展の『BIRTH』とモンスターコレクションの『カース・マンドラゴラ』です。

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2017.01.18

コミケ91:『ミャアちゃんとお風呂』『しん・のた魚』(吾妻ひでお)

1484340727240 吾妻ひでお氏のパラパラ漫画2冊です。コミケの最中にも有名な方が入手されたと写真をアップされてましたね。

内容はどちらも、女の子がエロくて可愛くてかっこ良い。

『しん・のた魚』は、シン・ゴジラの蒲田くんがのた魚に似ているというネタから発展したパラパラ漫画。海から上がったのた魚が、カワイ格好良いカヨコ(だよね?)と遭遇し、なんやかんやで立ち上がったのた魚が、あーなってこーなって、最後、《◯◯◯が◯◯》になるという衝撃(笑)の結末でありました。そうか、そーだったのか。カヨコのアクションがみどころです。

『ミャアちゃんとお風呂』は、ミャアちゃんがお風呂にはいって、なんだかわからないものと遭遇してなんだか分からないことがおきてなんだかわからない結末になるというなんだかわからない物語。お風呂に入る前の丁寧な脱衣動作が見どころでした。

【追記】

そういえばあじま先生が2016年9月のツイッターでパラパラ漫画を公表していました。それとくらべると、冊子の『しん・のた魚』には1枚おまけがついています。どんな絵かは買ってのお楽しみ。

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2017.01.12

コミケ91:『消波の不思議と波の驚異を見るものへの贈り物』(岸の護り伝承会)

前回に引き続きコミケ91で出会った面白い本の紹介です。

今回は表紙から分かる通り《消波ブロック》の本です。コミケで消波ブロックを検索するとここしかでてきません。

本の表紙

内容は消波ブロックの基礎知識と魅力、観察をする方法などなど。地味な内容ですがこれが消波ブロックの本、3冊目だとか。この本の作者も《ジュゴンブロック》の形の不思議さには魅せられたようで、会場では私も上手く話せなかったのですがアレの形は印象深かった。

※コミケ91で買った本一覧はこちら→『コミックマーケット91で買った本 - 路傍亭@はてな

ちなみに2014年に新潟の海岸で私が撮った、テトラポット作成中の写真が以下です。写真の右側に型枠で養生中と脱型後のテトラポットが見えます。 20140628230907

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2017.01.11

コミケ91:『意外と知らない信玄餅のセカイ』(油ハム。)

今回のコミケは、時間的体力的に評論ジャンルを流し見する余裕があったので、面白い本との出会いがありました。

今回紹介するのはその1つ。『意外と知らない信玄餅のセカイ』

内容は、まずは桔梗屋と金精軒の信玄餅の食べ比べ。変わり信玄餅として金精軒の水信玄餅も言及されています。(夏限定なので水信玄餅は実食なし)圧巻は諸派ある信玄餅の食べ方の比較。凹みに蜜入れ、包み紙広げなど実際にそれぞれのやり方で 食べてみて長所短所を論じているところはDPZぽくって好感が持てます。 巻末の信玄餅詰め放題ツアー(そんなのがあるのか)体験記も面白い。

後書きによると、このサークルは同人誌作成が今回初めてだそうですが、 写真をメインにしたオールカラーのとても綺麗な本でした。

『信玄餅のセカイ』表紙 ※コミケ91で買った本一覧はこちら→『コミックマーケット91で買った本 - 路傍亭@はてな

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2016.06.09

『犬は書店で謎を解く』牧野 修

『犬は書店で謎を解く ご主人様はワンコなのです 』(牧野 修,メディアワークス文庫) 2016年5月25日発行。
《頭はキレるが、ヒネくれた性格の青年。そして彼が飼っている人懐っこくて素直な柴犬。ある日、この主従の魂が入れ替わってしまう!様々な謎に挑む二人(?)を描く、笑いあり涙ありの、異色入れ替わりストーリー》

マキノさんの全年齢向け小説ということで買いましたが、面白くて2日で読み上げました

この人間となった犬の「ハギト」が愛らしゅうて愛らしゅうて。ワンコ好き、純真な可愛いモノ好きなら是非とも読んで欲しい小説です。

抑えのきいた文章で描かれる背景の金沢の町の美しさは、町の奥ゆかしさそのまま。どんでん返しは唐突なんでミステリーというよりはサスペンスとして楽しんでくださいな。ちなみに元犬=ハギトは謎を解けませんが愛らしい行動力で、なんやかやと問題が解決されていきます。

クライマックスで明らかになる意外な犯人と、その異常な性格の描写はいつものマキノ節ですが、確かに全年齢向けでした。面白かった。星4つ。

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