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2017.01.20

M-1グランプリ2016の漫才を分類してみた【分析・感想篇】(ちょっとネタバレあり)

M-1グランプリ2016の漫才を分類してみた』の続きです。

全般の印象は、今回のM-1も、会話、漫才芝居、コント漫才それぞれあって、最終決戦もたまたまだろうけど漫才芝居、コント漫才、会話の漫才が1つづつでバランスが良いと感じた。決勝の3組はそれぞれの形式を上手く活用した完成度の高い漫才で、誰が優勝してもおかしくなかったと思う。

個別の感想で、形式的に面白かったのは、スーパーマラドーナのファーストラウンドかな。Aの1人コントをBが芝居の外から突っ込む形式は、下手くそな3人のコントでよくある2人の芝居に1人が芝居の外から解説するのに似てるけど、 サゲのどんでん返し(「エレベーターの中の人数が実は2人きりでなくて3人だった」、「田中は2人目でなく3人目だった」)について、1人芝居の文法とAの芝居が下手なのを上手く逆手に取ったミスリードで、さらに、全くのコントでやると観客に伝えるのに高い演技力が要る所をBのつっこみで解説することでわかりやすくした点で、よく練れた構成だった。 完成度は違うが九十九一のお笑いスタ誕の確か9週目の『殺人家族』に近いものを感じた。
ただ、前半の、Aがコントで可笑しいことをしてBが解説する部分は、 今回はミスリードを醸成するために必要ではあったけど、《下手くそなコントと同じ形式》である分表現が冗長で、笑いがモニョモニョした。

相席スタートも、後半の漫才芝居の《比喩的状況》の言葉を言葉通り《野球のバッターボックスの動作》として演ずる、設定自体がボケた芝居にしてしまった力技は面白かった。ただ、Bのボケた動作へ、Aがボケたつっこみをすることとなったので、全体的な可笑しみはあったけど笑いどころがボヤッとしてしまったのが残念。かといって会話で大いにボケていたAが漫才芝居になった途端に常識でつっこみだすのも不自然だし、どうしたら良いかは難しい。多分、女性のAがそのままボケた野球の芝居をするのが笑い的には正解だろうけど、男女の役割があってそう簡単にもいかない。上手く整理できるともっともっと面白くなると思う。

スリムクラブは、芝居を全く壊さないコント漫才に、Aが通常は漫才芝居で使うようなとんでもないボケをつっこんでくるのに対し、Bがじっと耐えて芝居を続ける構成がジワッと笑える面白い挑戦だった。 しかし、Bが芝居を壊さないつっこみだから、ボケの提示した緊張の解消が弱い欠点がある。その分ボケがどんどんエスカレートするとか、最後に大きく芝居を壊すサゲをいれるとか、もうひと工夫する必要があるなあと感じた。

和牛は正当なコント漫才。芝居を壊さないので緊張がどんどん上がっていって、最後のAがキレて暴れるのが大オチになる。ファーストラウンドも決勝も上手かった。

銀シャリは正当な形式のしゃべくり漫才。AとBの会話でAのボケにBが常識でつっこむがテンションが上がって、非常識なボケのつっこみに変化することで笑いをとった。

スーパーマラドーナの最終決戦のネタは、最初は芝居の中でボケてたのが、だんだん芝居の文法を壊すボケにエスカレートしていく(マゲのカツラが動作とズレる。裏番組から混じって来て切られる。)、漫才芝居の特徴を良く活かした良い笑いだった。

いろいろ書いてみて思ったけど、 まずは、分類をしてみて、漫才芝居やコント漫才をまでボケとつっこみの述語で語ってよいのかはちょっと疑問だった。明白なボケ役はあるにはしても、ここは課題としておく。
また、カミナリや銀シャリなどの《常識のつっこみ》が、だんだん正しさ過剰になって《笑いを上乗せするつっこみ》に変質する(例:「つま弾くな、いたずらに」「ドレミファソラスドって津軽の音階か」「うんちくんのゆるキャラもう下痢やから」)のに何か名前をつけたい。 常識の人間がボケのエスカレーションに引っ張られて狂気に踏み込んで笑いを上乗せする《つっこみ》を、春日(オードリー)のようなボケで笑いを取るとつっこみ区別したい。やっぱつっこみの分類は、述語を整理するためにちゃんと考えてみないといかんな。

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