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2007.09.01

ZDNet Japan Blog 間違い蘊蓄 -SPAMとspamとMONTY PYTHON-

ZDnet Japan Blogに「ITセキュリティー下学上達:スパムの語源、今後のスパム、spam、スパム」という記事が投稿されたが、内容に一目みて判るような簡単な間違いがたくさんある。
これを訂正をしておかずにおいて、間違った説が流布して混乱すると嫌なので、当該記事にトラックバックを送ってこちらに訂正を載せることとする。

大きな間違いは以下の3つ。
■モンティパイソンがバンド。

英国のバンドであるモンティ・パイソンが出演した番組で、「スパム」を連呼していたことで。

■プログラム言語のパイソンとモンティパイソンは関係がない。
ちなみに、プログラミング言語のPyson(パイソン)とは無関係である。しかし、故意に関連つけて冗談を効かすスパイスとしても使われる。

■迷惑メールのスパムの語源はハムのスパムの広告。
電子メールによる無差別大量送付による迷惑な行為となるが、紙によるダイレクトメールに対しても、スパムと呼ぶ。つまり、スパムはインターネット以前から存在する。
紙による広告を各家庭に配布する宣伝行為は、古典的な営業方法だが、その宣伝に使われた広告製品が、なんとSPAM(スパイス入りハム)だったのである。アメリカの家庭に配られる広告チラシに、しばしばSPAMが載っていた。

読み返すと日本語そのものが変だ。さらにプログラム言語のパイソンはPythonが正しい。

それぞれWikipediaを参照するだけでも間違いだということが判る。
モンティ・パイソン - Wikipedia

モンティ・パイソン(Monty Python)は、イギリスの代表的なコメディユニット。

Python - Wikipedia
イギリスのテレビ局 BBC が製作したコメディ番組『空飛ぶモンティ・パイソン』にちなんで名付けられた。

スパム (メール) - Wikipedia
語源は、缶詰の "SPAM" が、モンティ・パイソンの作品(ホーメルのCM)の中で「同じような物の繰り返し」という意味で使われてしまったことだとされている。

Wikipediaは必ずしも正しいわけではないので他の根拠も示しておく。

モンティパイソンがコメディグループであるというのは、『モンティ・パイソン大全』(須田泰成)などの文献を見るまでもなく常識に近いものである。モンティパイソンのメンバー(パイソンズ)を6人とするのか、ニールイネス等も含めるのかは意見の分かれるところであるが、「フライングサーカス」やライブ等でコアの6人がバンドを組んで演奏をしたことは1回も無い。(いったいジョン=クリーズがどんな楽器を弾くというのだ?!)

パイソンズが関わったバンドというと、エリック=アイドルとニール=イネスが作った(もともとは架空の)バンド「ラトルズ」がある。記事の著者はこれと間違えたのではないだろうか。

言語パイソンについては、公式サイトで名前はモンティパイソンにちなんで開発者がつけたと明言している

Pythonの紹介 - 日本Pythonユーザ会

Python の開発は、1990 年ごろから開始されています。開発者の Guido van Rossum は教育用のプログラミング言語「ABC」の開発に参加していましたが、ABC は実用上の目的にはあまり適していませんでした。このため、Guido はより実用的なプログラミング言語の開発を開始し、英国 BBC 放送のコメディ番組「モンティ パイソン」のファンである Guido はこの言語を「Python」と名づけました。

General Python FAQ -- Python Programming Language -- Official Website

この話はパイソン言語を知っている人には有名な話だと思う。この記事の著者は、何を根拠に、どこを調べて「無関係」と断言したのだろうか。不思議である。

迷惑メールのスパムの語源については、インターネット上の約束事を定めるRFC2635番に以下のようにフライングサーカスの例のスケッチ(コント)が語源であると明言してある。

RFC 2635 : DON'T SPEW - A Set of Guidelines for Mass Unsolicited Mailings and Postings (spam*)

The term "spam" as it is used to denote mass unsolicited mailings or netnews postings is derived from a Monty Python sketch set in a movie/tv studio cafeteria. During that sketch, the word "spam" takes over each item offered on the menu until the entire dialogue consists of nothing but "spam spam spam spam spam spam and spam." This so closely resembles what happens when mass unsolicited mail and posts take over mailing lists and netnews groups that the term has been pushed into common usage in the Internet community.
大規模な迷惑メール配信や迷惑ネットニュース・ポストを指して用いられる用語「spam」は、映画/TVスタジオのカフェテリアで演じられたモンティ・パイソンの短編集に由来する。その短編では、会話のすべてが「spam spam spam spam spam spam and spam」になってしまうまでメニューにある品目それぞれが「spam」という言葉に乗っ取られてゆく。この短編が、大量の迷惑メールや迷惑ポストでメーリングリストやネットニュースグループを乗っ取られたときの有り様とあまりによく似ていることから、この用語はインターネットコミュニティで一般的に用いられるようになった。

スパムという言葉が使われ始めた頃の当事者が複数関わって定めた文書である。これ以上の根拠はない。これだけで用が足りる。以下補足。

実はスパムの語源がスパム社のCMであるという説は今まで何度か流布しているが、内容は「スパム社のCMで「スパム、スパム、スパム…」と連呼しているのにちなんでスパムと名付けられた」というもので、明らかにフライングサーカスのスケッチが誤解されて伝播したものである。(例)

ちなみに私はスパム社のCMを何度か見せてもらったことがあるが、「スパム、スパム、スパム…」と歌うCMは無かった。もし「スパム、スパム、スパム…」と歌うCMが(フライングサーカス以前に)あるという資料をお持ちの方がおられましたら、パイソン研究上重要なポイントとなりますのでスパム、スパム、スパムしながらご一報願います。(これで誰かが古いCMをでっち上げたらまさにPythonesqueだ)

さらに今回の記事の「大量に配布されたチラシSPAMが載っていたことがあるのにちなんだ」はいままでにない新しい説である。他では聞いたことがない。スパム社が代名詞になるくらいチラシ(ダイレクトメール?)をどんどん流したという事実があったかどうか確認/推測できる資料がどこかにあったら、パイソンズがあのスケッチでスパムを取り上げた根拠を推測させる資料となるかもしれないので、これもご存じの方はスパム、スパム、スパムしながらご一報願います。

さて以上で間違いの指摘と根拠を示した。以下は感想。

この記事の前半はスパムの語源に関する蘊蓄を語ろうとしているのだが、思いこみで間違いを語る蘊蓄にどれだけ意味があるのだろうか(反語)。それゆえ後半の今後のスパムも新しいことをいっている風だが内容が無いようにみえるのは気のせいだろうか。

実際、後半に内容があれば前半は不要な埋め草の蘊蓄だよな。

埋め草にしろ蘊蓄を語るときは、せめてWikipediaぐらいは引いて(できれは更に違う資料にも当たって)裏をとってから語ろうよ、Zdnetの中の人。

※この記事は以下の記事を参考に作成しました。
thanks to 「溶けている壷:オカマの恐竜と塩漬け豚肉
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コメント

例の記事にトラックバックがされていませんね。
まさか「くさい物にふた」で削除とか…。

投稿: Nadai | 2007.09.04 22:08

そもそもzdnetblogのトラックバックが働いてないんじゃないか?

投稿: 傍見頼路 | 2007.09.08 20:06

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